あらすじ
筆頭魔導官エルシアは、王都を守る大結界の更新も、王宮の魔導管理も一人で支えてきた。
けれど婚約者である第一王子は、幼馴染の聖女を何より優先する。
年に一度の結界更新すら「君なら大丈夫だろう」と押しつけ、エルシアが命を削って儀式を終えても、その努力を見ようとはしなかった。
「強いから、後回しにしていい」
そんな扱いには、もう限界だった。
婚約解消と辞表を突きつけ、王宮を去ろうとしたエルシアは、その日のうちに王宮の地下がダンジョン化していることに気づく。
しかも迷宮の最奥には、三年前に行方不明となった第二王子リュカがいた。
「王宮から去るなら、こちらで働かないか。僕の補佐として――君の力が必要なんだ」
迷宮の主となり、王都を見えない場所から守り続けていた第二王子。
彼だけは、誰にも見られなかったエルシアの仕事を、三年間ずっと知っていた。
もう、第一王子のために働くつもりはない。
元婚約者たちが、筆頭魔導官を失った王宮の危機に気づく頃。
エルシアは迷宮の主のもとで、新しい仕事と居場所、そして自分を決して二番目にしない人との恋を手に入れていく。