あらすじ
2030年、花の国。高校を卒業したばかりの宮崎正樹は、世界中が注目するVR-MMORPG『イオヤプ』のクローズドβテストに当選する。四年間待ち焦がれた大作——SOEとBOE、二大メーカーの叡智を結集した、リアル触覚フィードバック対応の次世代型VRゲームだ。
キャラメイク画面で正樹は迷わず「光の魔女」の特性を選ぶ。光属性魔法の威力が通常の二倍、倍率はさらに成長可。高難易度レイドを渡り歩いてきたヘビーゲーマーにとって、性別が女性固定だろうと些細な問題だった。
決定を押した瞬間、すべてがロックされた。容姿、名前、出身地——気づけば彼は「アリアナ・クロティア・ユナ・フォン・エリクソン」となり、エリクソン帝国の王都に立っていた。
中世ヨーロッパを謳うその街に、電灯が灯り、自動車が走り、飛行機が空を掠める。突っ込んでくるスリーポインテッド・スターを避けた先で、正樹は知る——このゲーム、ただのMMORPGじゃない。
ステ振り一つで、現実もゲームも、全部巻き戻せなくなった。