あらすじ
『スキルなし』と鑑定され、勇者パーティを追放された少年レン。だがそれは偽りだった。
彼の正体は、目に映った技を喰らい、取り込み、作り替えてしまう規格外の異能《万象写し》の
持ち主。鑑定スキルすら喰っているせいで、鑑定の儀では「無能」としか映らなかったのだ。
——そしてレンには、もう一つ秘密があった。才能で人を値踏みするこの世界を、どこか他人事のように
見透かす、前世の記憶。かつて別の世界で「何も産めない」と値踏みされて死んだ彼にとって、この国の
やり方は、嗤えるほど見覚えのあるものだった。
だが、世界はもっと歪んでいた。この国では才能こそが人の値段で、何も産まない力——
喰らい、吸い、消す力を持つ者は「ネズミ」と蔑まれ、駆除すべき害獣として扱われる。
そしてレン自身が、その「ネズミ」の血を引く最強の一匹だった。
幼い妹を救えなかったあの日から、「二度と間に合うものか」と技を喰らい続けてきた彼は、
侮った貴族も、捨てた勇者も技名一閃で叩き伏せながら、やがて知る——妹を奪ったのは魔物
ではなく、ネズミを奴隷にして甘い汁を吸い続ける、清潔な顔をした権力者たちだったと。
生み出すだけでは、変えられない。喰らう者の、無双と喪失と、世界を作り替える物語。