あらすじ
「聖女セラフィナ、貴様との婚約を破棄する!」
大聖堂に響く第二王子ライオネルの声。腕には男爵令嬢ミレーユ。「口づけひとつ交わさぬ氷の女」と罵られても、セラフィナは涙ひとつ流しませんでした。
──だって、彼らは知らないのです。
私の唇に刻まれた桜色の紋様、それは太古に世界を焦土に変えかけた竜王アルドを封じる『封印』。安易に口づければ、世界を滅ぼす災厄が漏れ出すということを。
前世は過労死した危機管理コンサルタント・瀬良史奈。理不尽な組織にしがみつく愚かさを骨身に染みて知る私は、あっさり婚約破棄も聖女の任も受け入れます。
「これから私は、定時で帰る冒険者ライフを始めるのです」
忠実な侍女リタと共に王宮を去り、たどり着いた辺境。そこで出会ったのは、ぶっきらぼうに温かいスープを差し出す竜眼の男・ガイ。彼の胸の紋様と、私の唇の紋様が、時折同じ光で呼応して──?
一方、聖女を失った王国では、封印の綻びが徐々に牙を剥き始め、青ざめたライオネルたちが真実を知る頃には、もう手遅れで。
残業も休日出勤もお断り。心優しき人々に囲まれて、ようやく手に入れた「定時で帰れる幸せ」。
ざまぁと溺愛、そして世界の秘密。冷血と呼ばれた聖女が辿り着く、本当の居場所の物語。