あらすじ
38歳の藤崎拓也は、東京の広告代理店でバリバリ働いていたが、父親の突然の脳梗塞を機に、15年ぶりに故郷の小さな海辺の町へUターンする。
都会での成功と引き換えに失った「大切なもの」を、ぼんやりと感じながらの帰郷だった。
そこで拓也は、37歳になった初恋の女性・佐藤遥と再会する。
遥は海の見える小さな喫茶店「潮音」を一人で営んでおり、結婚もせず、5年前に母親を病気で亡くした後もこの町を離れずにいた。
15年の空白は、二人に様々な変化をもたらしていた。
拓也は仕事人間になり、優しかった心を固く閉ざし、遥は静かに傷を抱えながらも、穏やかに生きる強さを身につけていた。
再会をきっかけに、ゆっくりと交わっていく二人の時間。
過去の別れの真相、互いに隠していた想い、現在の後悔や葛藤、そして海辺の町で過ごす四季の移ろいの中で、
二人はもう一度「自分らしい生き方」と「誰かを愛すること」の意味を見つけていく。
この物語は、派手な恋愛ドラマではなく、潮の満ち引きのように静かで、しかし確実に心を動かしていく大人の純愛を描きます。
15年という歳月がもたらした「失われた時間」と「まだ残されている時間」を丁寧に紡ぎながら、
最終的に二人が選ぶ未来へと、温かく導いていきます。