あらすじ

噂が、力になる世界。 ある人物についての物語が大勢に信じられたとき、それは〈異名〉となり、本物の力を宿す。〈不敗〉と謳われた剣士は負けず、〈剛腕〉と呼ばれた男の腕は鉄をも砕く。 クロウは五年前、戦場となった谷で仲間を守り抜いた。だが生き残った彼に着せられたのは〈敗走の〉――真っ先に背を向けて逃げた臆病者という、真っ赤な嘘の異名だった。噂は彼の体まで作り変え、危機を前にすると本当に脚が竦む呪いとなって、五年間クロウを縛り続けている。 だが、死にかけたあの日から、クロウにだけ視えるものがある。 人の背に巻きつく、噂の「糸」。誰が何を信じ、どの語りが人を縛り、どの物語が街を支配しているのか。 噂は、叫んで否定しても消えない。 なら――人々のほうが、そう語り直さずにいられない「状況」を設計してやればいい。 街を支配する〈不敗〉の男にも、領を牛耳る〈公正〉の領主にも、剣では敵わない。だが、どれほど絶対の異名も、公衆の面前でたった一度、その名を裏切らせれば――砕ける。 これは、嗤われた男が語りの糸を読み、噂を設計し、着せられた悪名を最強の伝説へと上書きしていく、逆転の物語。 剣では殴りません。「語られ方」で勝ちます。

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カクヨム
カクヨム2026/07/06
  • 現在の作品〈敗走の〉と嗤われた俺だけが、噂の糸を視て書き換えられる ~異名が力になる世界で、着せられた悪名を最強の伝説へ上書きする~