あらすじ

乗り物をロボットに変形させる相馬、丸いものから怪獣を生む凛、姿を選べないランダム変身のユキ。世界を救えるスペックを持ちながら、三人は「社会貢献研究所」で倒木撤去や川さらいに能力を浪費する日々を送っていた。ある夜、七階建てのビルに現れる「八階」の調査中、二人は異界の港に迷い込む。ヘドロの怪異に全手札を出し尽くして敗れた二人を救ったのは、消えたはずのユキに似た光だった。 その日を境に相馬と凛の力は失われる。博士の差配で送られた温泉地は、世界の異変を秘密裏に「後始末」する組織の養成所だった。二人はエア・キャッチや壁ドンといった意味不明な伝統競技を課されながら、飯がうまく風呂が広い日常に馴染んでいく。だがある日、親しくなった同期のアヤが理由も告げられず姿を消し、街では鯉が浮かず、島の形が変わり、世界の綻びが加速していく。 やがて三人は、異変の中心に立つ麦わら帽子の少女と対面する。「汚れたままの世界は受け取らない」と告げる彼女の正体は、幼いユキが恐怖から切り離した半身――きれいなものだけを選ぶ力を宿した女神だった。ユキが選べなかったのは、選ぶ力そのものを手放していたからだ。世界の色を呑む単色の海を、相馬たちは武装のない輸送ロボと養成所で叩き込まれた競技の技術だけで渡り、ユキを女神のもとへ送り届ける。殴る形のない敵に、殴らず、受け、逸らし、運ぶ護送戦の果て、ユキは論理ではなく、こけしを笑い、饅頭を食う「くだらない時間」の全部を差し出す。「汚れてても、いい。このままで救って」。女神はユキと一つに戻り、世界は色を取り戻す。 力の戻った三人の日常が再開する。鯉は麩に群がり、カモメは騒ぎ、遅れていた焼き芋屋がようやく街にやってくる。誰も感動を口にしないまま、三人は焼き芋の配分で言い合いながら歩き出す。

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カクヨム
カクヨム2026/07/06
  • 現在の作品世界崩壊前には、本気出します。