あらすじ
魔力を使えば、必ず残り香が残る。それを視ることができる異能「識滓(しきし)」を持つ公爵令嬢ヴィオラ・クレーヴェスは、婚約者である王太子ルシアンから、聖女への呪詛をかけたとして婚約破棄を宣告される。証拠として示されたのは、聖女の右手に刻まれた呪紋――たしかにヴィオラの魔力残滓と鑑定されたものだった。しかし群衆の前で頭を垂れながら、ヴィオラだけが気づいてしまう。その残滓の色が、自分の魔力とは似て非なるものだと。真実を暴くまで、彼女は敗者のふりを続けることに決めた。優雅に、そして正確に――断罪を、断罪し返すために。