あらすじ
写真を撮るのをやめた。
高校のころ、好きで撮っていた写真が少しだけ褒められて、それから私は、何を見ても「これは私らしいのか」と考えるようになった。
大学を休んだまま、休学延長の書類も出せずにいた六月の終わり。
駅前の古い雑居ビルで、私は貝塚やえと出会う。
彼女は、溶けかけのアイスも、錆びたフェンスも、どうでもいい夕焼けも、何でも雑にスマホで撮る子だった。
半年後、そのビルは壊される。
一階の喫茶店跡、屋上のプラ椅子、使われなくなった階段。
どうせなくなる場所なのに、私はなぜか、そこから目を離せなくなっていく。
撮れなくなった私と、何でも残す彼女の、たぶん最後の夏の話。