あらすじ

「岩を売る田舎娘と婚約? そんなもの破棄だ!」

王宮の晩餐会で、王太子アルヴェルトはそう言い放った。

けれど、そもそも婚約はまだ成立していない。
しかも彼が「不純物の塊」と侮った岩塩は、王国の食卓、保存食、薬師、兵站、そして王宮の白い精製塩までも支えている、ハライト公国の重要な交易品だった。

ハライト公国の公爵令嬢ヴィエリチカは、怒鳴らない。
泣きもしない。
ただ静かに微笑んで、王国への塩の供給を止める。

白い塩が消え、王都はようやく気づく。
塩はただの調味料ではない。
民の暮らしを支える命綱なのだと。

謝罪に訪れた王太子へ、ヴィエリチカが提示した条件は、民への塩価格は据え置き、ただし王国への納入価格は十倍。

「代償ではございません。契約再構築の費用です」

民を守るため、王太子はその契約に署名する。
だが、十倍契約は少しずつ王国の帳簿を蝕んでいく。

赤字。
廃嫡。
未払い。
利息。
担保。
そして、王国そのものの清算へ。

処刑も、断罪も、血なまぐさい復讐もない。
あるのは、契約を軽んじた国が、契約によって静かに沈んでいく帰結だけ。

「塩は、穢れを流すためのものです」

これは、岩塩を侮った王太子が、国ごと塩対応される物語。
そして、笑顔で契約書を差し出す公爵令嬢が、民の食卓に塩を届け続ける物語。

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アルファポリス
アルファポリス2026/07/06
  • 現在の作品婚約もしていないのに破棄宣言ですか? 〜岩塩で殴ればお目覚めになります?〜』