あらすじ
外界から隔離された島で、無垢に育った少年・寿(ことぶき)。
彼は、一度も会ったことのない父・しんたろうに会うため、父の知人を名乗る男・えいじに連れられ、初めて外の世界へと足を踏み出した。
だが、そこで待っていたのは優しい再会ではなかった。
父は数十年もの間、狂気の組織《イドラ》によって監禁され、その才能と尊厳を蹂躙され続けていたのだ。
そしてえいじこそが、父からすべてを奪い尽くした血を分けた父の弟だった。
「この子は、復讐のために生まれてくる」
さらに父の過去の記憶を見た寿は、その冷たい言葉に、己の存在意義を見失う。
僕は愛された息子ではないのか?憎しみを晴らすためだけに造られたのか?
アイデンティティが崩壊する中、寿は父が背負った数十年の地獄(過去)を追体験していく。
そこにあったのは、凄絶な暴力、狂信的なカルトの陰謀、そして――決して泥に染まらなかった父の、不器用で深すぎる無償の愛。
「誰も死なせたくない」
絶望の連鎖の中で、それでも寿が選んだのは復讐ではなく、たった一つの祈りだった。
―― 全てを奪われた父と、全てを奪った叔父。血を分けた兄弟が辿り着く、愛と憎しみ。そして息子への本当の思い。
世代を超えた因縁の果てに、少年が掴み取る未来とは。
これは過去と現在、二つの時代に渡る歪んだ家族の因縁と、血塗られた愛の物語。
そして重厚な絶望の先にある、圧倒的な光を描くダークファンタジー。
※本作は重めの展開かつ残酷描写、性的な示唆が含まれますが、最後はハッピーエンドです。