あらすじ
梅雨明け前の早朝、散歩道の木に吊るされた七夕の短冊を見つけた年金生活者の「私」。
「健康になれますように」
「孫が元気に育ちますように」
そんな穏やかな願いに混じって、一枚だけ異様な短冊があった。
『山本が死にますように』
人間の悪意に思いを巡らせながら歩き続けた先で、「私」は雑木林に首を吊った老人を発見する。
しかし、スマートフォンのGPSは現在地を「中国」と表示し、やがて死体は口を開く。
「短冊を掛けていけ」
それは願いを叶える七夕ではなく、呪いを叶える七夕だった――。
願いと呪いが交錯する梅雨の朝を描いた、後味の悪い現代怪談。