あらすじ
「パパ、あのお姉さん、知り合い?」
春の駅で、娘にそう聞かれた。
振り返ると、そこには高校時代、そして社会人になってからもう一度恋をした女性――水瀬美月がいた。
彼女の隣には夫がいて、小さな男の子が笑っている。
目が合う。
軽く会釈を交わす。
それだけだった。
けれど、胸の奥にしまった十数年前の恋は、今でも色あせてはいなかった。
これは、恋人になれなかった二人の物語。
何度も想いは重なったのに、「相手の夢を応援したい」という優しさが、本当の気持ちを飲み込んでしまった。
もし、あの日「好き」と伝えていたら。
そんな「もしも」は、きっと一生なくならない。
それでも、あの恋があったからこそ、僕たちは今、大切な人を幸せにできている。
結ばれなかった恋が、それぞれの幸せへと続いていく物語。