あらすじ
二十九歳のフリーター、峯岸修二は、夜勤のアルバイトと家を往復するだけの毎日を送っていた。
人生に希望が見えない。
だけど死ぬ勇気もない。
親とは縁を切り、恋人も友人もいない。
ただ惰性で今日を生き、また明日を迎える。
そんな冴えない日々を過ごしていた。
ある夜勤明けの朝。最近ついていない出来事が続いていた修二は、幼い頃によく遊んでいた神社のことをふと思い出し、「運気でも上がればいいか」と軽い気持ちで立ち寄る。
そこで待っていたのは、二十年以上前と変わらない姿をした一人の少女だった。
信仰を失い、廃れた神社の土地神・天音。彼女は修二を見るなり、昔と変わらない笑顔でこう言った。
「久しぶり、しゅうちゃん。」
幼い頃、修二は神社で天音と毎日のように遊び、「ずっと一緒だよ!」と指切りを交わしていた。しかし修二はその後引っ越しを機に、神社を訪れなくなり、その約束も、天音の存在さえも忘れてしまっていた。
そんな修二へ、天音は残酷な現実を告げる。百年に一度だけ開催される、神々の代理戦争、『創世の儀』。
古き原初神が作成したシステム、創生機構によって選ばれた十柱の神は、それぞれ一人の人間を代行者として選び、最後の一組になるまで戦い続けなければならない。
勝利した神は新しい並行世界の創造神となり、勝利した代行者は神格を継承し、新たな神となる。
神々は創造神という頂点を目指し、人間たちは人という存在から脱却するため、それぞれの欲望と理想を胸に戦場へ集う。
だが、その中で修二だけは違った。
神になることにも世界を創ることにも興味はない。ただ昔の約束がきっかけで巻き込まれただけの、ごく普通の人間。
そして相棒となった天音もまた、他の神々とは違う想いを胸に秘めていた。
これは、人生を諦めかけた青年と、信仰の薄い土地神が紡ぐ、百年に一度の神様代理戦争の物語。
神は頂点を目指し、人は神を目指す。
その戦いの中で、何も望まなかった一人の男は、生きる意味を見つけていく。