あらすじ
「お前のような氷のように冷たい女は、王妃にふさわしくない」――雪の舞う王城で、第二王子ヴァルトから婚約を破棄されたセレスティア・ユーグレット公爵令嬢。
泣き縋ると思われていた彼女は、しかし静かに微笑んでこう告げた。「では私、辞めさせていただきます」と。
実は彼女には前世の記憶があった。現代日本の防災庁・寒冷地災害対策室で、低体温症対策や備蓄計画に人生を捧げ、過労死した職員だったのだ。
そして王都を暖めてきた魔導インフラも、食料備蓄網も、熱保持結界も――すべては彼女のユーグレット公爵領が支えてきたもの。婚約という縁が切れた今、それらの供給契約は打ち切られる。
『百年に一度の大寒波』まで、あと一ヶ月。
「陽だまりの加護」を持つ聖女ミレーヌと第二王子は、自分たちが何を手放したのか、まだ何も分かっていない。
あなた方が凍え死ぬ冬、私だけが暖かい――前世の防災知識を武器に、領地を、人々を、そして次なる国の冬をも救っていく防災令嬢の物語。
氷の令嬢と、不器用な竜人将軍が紡ぐ、温かな季節がいま始まる。