あらすじ
任務は、最前線病院の女性軍医の暗殺。
雪崩によって崩落した雪山、閉じ込められた暗殺者と標的。
極限の洞窟で、二人の「死んだ人間」の運命が狂い始める。
【あらすじ】
工作員・木瀬慶次に下されたのは、最前線病院の軍医・白黒素の排除命令だった。
上層部が目論む「病院ごとの口封じ」を偶然知ってしまった彼女は、すでに組織の予定表の中では死んだものとして扱われていた。
雪山で息を殺し、銃口を向けたその瞬間——頭上の雪庇が崩落する。
九死に一生を得て、暗殺者と獲物は狭い洞窟の中に閉じ込められた。
凍傷で指一本動かせない慶次を、淡々と看病する素。
裏切りと殺しの中に生きてきた慶次の凍りついた理性は、彼女が与えるスープの熱に、皮膚に触れる体温に、無自覚な依存へと塗り替えられていく。
一方、素もまた、彼を心中への道連れにする計画を秘めていた。
しかし、慶次の真っ直ぐな信頼の純度が、彼女の計算を狂わせていき……。
未来を奪われた二人が、白い牢獄の中で紡ぐ、不器用で狂おしい依存の記録。
——重なり合った二つの色は、もう二度と離れない。