あらすじ

宮廷薬師マレーナの仕事は、人を「眠らせる」こと。痛みで暴れる傷兵を鎮め、外科医の刃が届くまで、呼吸と脈を聴きながら眠りの深さを調じる——手術を成立させる、たった一人の技だった。 だが侍医長エギディウスは「眠らせるだけの女に医術など要らぬ」と嗤い、辺境伯レオンハルトを「彼女の薬で殺した」と濡れ衣を着せて彼女を追放する。 半年後、世継ぎの王子が狩りの矢傷で倒れ、腹に残った鏃を抜くには深い眠りが要った。だが誰も、その匙加減を再現できない。眠らせられぬ王子の前で、外科医は刃を置く。 その手術台に、死んだはずの辺境伯が生きて立った。マレーナが「殺した」男は、暗殺から匿うため、彼女が仮死の眠りで救っていた——毒を盛ったのは、告発した侍医長その人だった。 眠らせる技は、殺さぬための技。眠りの匙加減ひとつが、命の生き死にを分ける。

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小説を読もう2026/07/05
  • 現在の作品「人殺し」と追放された薬師令嬢——殺したはずの辺境伯が、王子の手術台に生きて立った