あらすじ

遺品整理業者のタツヤは、誰もいなくなった部屋に入り、残された物から持ち主の人生を一つの物語に仕立てて、遺族に手渡してきた。写真、祝儀袋、マスキングテープの跡、編みかけのマフラー。残された物には、いつも語れそうな物語があった。物は、何も語らない。語っているのは、いつもタツヤの方だった。 ある日、タツヤは何もない部屋に残された、時刻の合わない時計と出会う。事実と物語、仕事と関与、他人の孤独と自分の空白の境目が揺らぎ始める。線は、にじむ。線の向こうにあったものが、いつのまにかこちら側に染み出している。その時計の秒針の音は、壁の向こうに暮らす一人の女性の日常にも、知らないうちに届いていた。

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小説を読もう2026/07/05
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