あらすじ
とある地方都市・楡ノ木。
古い校舎が立ち並ぶ楡ノ木中学校の図書館最奥には、決して開けてはならない一冊の本が封印されている。人間の皮で装丁され、地球の文字ではない記号が蠢くその本は、毎夜、人間とも獣ともつかぬ泣き声と、異界の囁きを響かせる。
図書委員の佐伯真由、バスケ部の高梨杏奈、霊感のようなものが少しある朝比奈小春——三人の女子中学生は、身近に潜む異変に気づいてしまう。
古い書物、霧に包まれた廃墟、夜の校舎に響く名を呼ぶ声……。
彼女たちが触れてしまったものは、単なる怪談や呪いなどではない。
それは、クトゥルフ神話の深淵より漏れ出した、人間の理解を超えた恐怖。
幼馴染みの少年・トオルは、ただ静かに語るだけだ。
オカルトに詳しい彼の目は、すでに「向こう側」を垣間見ている。
「これは、無視するべきだ。」
「人が踏み入れていい領域ではない。」
トオルの警告は、いつも重く、冷たい。
しかし、三人の少女たちは、好奇心と友情に突き動かされ、禁忌の淵に足を踏み入れてしまう——。
各話完結の怪奇譚。
楡ノ木の日常に忍び寄る、宇宙的で無慈悲な狂気。
知れば知るほどに精神が蝕まれ、忘れようとしても忘れられない、禁断の記録。
ここに記されるのは、少女たちの叫びと、トオルの冷徹なる忠告。
そして、人間など塵芥に過ぎない、真なる深淵の片鱗である。