あらすじ
銀河の端――そこは物理法則が曖昧になり、帝国が敷いた完璧な秩序が届かない「綻び」の領域。
かつて銀河を統べるために設計された古代演算ユニット「エビ」を相棒に、何でも屋の運び屋・タケルは、オンボロ宇宙船『ラッキー・ストリーク号』で今日も気ままな旅を続けていた。彼の目的は銀河の危機を救うことではなく、ただ「最高の調味料」と「面白い景色」に出会うこと。
しかし、その「適当すぎる」航行スタイルは、時として帝国の冷徹な監視網を物理的にすり抜け、彼が通った後の星系では、理屈では説明できない「奇跡」が連鎖的に発生し始める。
そんなタケルに半ば強制的に同行する羽目になった、帝国の冷徹な監視官セシリア。そして、タケルの運命に触れ、理論の崩壊を経験した凄腕の元分析官ヴァレリー。
本来であれば交わるはずのなかった彼らが、船という小さな箱の中でタケルの「適当」に振り回され、やがて銀河の深淵に隠された真実――この宇宙が「計算可能なプログラム」に過ぎないという真理――を塗り替えていくことになる。
『ラッキー・ストリーク・プロトコル』。
それは、エビがタケルの予測不能な行動を記録し続けた末に辿り着いた、銀河再編の鍵。
宇宙の秩序を保とうとする冷たい論理と、タケルが持ち込む温かくもデタラメな「運」。
今、銀河で最も非効率で、かつ最強の運び屋たちが、星と星を縫い合わせる壮大な航海が始まる。