あらすじ
前世で人とのつながりを残せなかった青年は、死後に虚しさを抱いた。
次に生まれ変わるなら、今度こそ人との縁を大切にしたい。
そう願った彼は、勇者の血を引く王国の第三王子、レオンハルト・アルヴィオンとして転生する。
厳しくも愛情深い父王。
優しい母。
頼れる兄姉。
慕ってくれる妹。
張り合いながらも親友になった貴族の少年。
忠誠を誓う護衛。
厳しく世話を焼く侍女。
そして、いつも自分を肯定してくれる幼馴染の公爵令嬢。
前世とは違う。
今度の人生では、確かに大切な絆を築けている。
そう思っていた十四歳の誕生日前日、レオンハルトは王族に伝わる「暁帰りの儀」に臨む。
勇者の装備に身を包み、ひとり先祖の廟で夜を明かし、王都へ帰る。
ただそれだけのはずだった。
しかし、戻った王都で彼を待っていたのは、すべての人々から自分の存在が消えた世界。
家族も、友も、部下も、幼馴染も、誰一人としてレオンハルトを覚えていない。
それどころか、彼がいるはずだった場所には、別の少年が“本物の王子”として居座っていた。
奪われた名前。
奪われた居場所。
奪われた絆。
忘れられた王子は、名を変え、勇者の旅路をたどる。
奪われた絆を取り戻し、故郷を魔王の手から救うために。