あらすじ

中学一年生の水瀬葵は、共働きの両親を持ち、一人で過ごす時間の寂しさを埋めるようにSNSへ日常を投稿し始める。ある日、「ユウ」と名乗る優しい高校生を自称する人物から届いた一通のコメントをきっかけに、葵は画面の向こうの「理解者」に心を開いていく。しかし、その出会いは、子どもの心に寄り添いながら信頼を築いて支配していく「グルーミング」という巧妙な犯罪の始まりだった。

やがてユウの要求は少しずつエスカレートし、断れないまま秘密を抱え込んだ葵は孤立していく。親友の小さな違和感、スクールカウンセラーの寄り添い、そして警察の迅速な対応によって、葵は事件の直前で救い出される。事件解決の先に待っていたのは、心の傷と向き合いながら家族との信頼を取り戻していく長い時間だった。

SNSは人と人をつなぐ便利な道具である一方、その優しさを装って子どもに近づく大人も存在する。本作は、実際に社会で起きているSNSを通じた子どもの性被害を題材に、加害者の巧妙な手口、周囲の大人が果たす役割、そして被害を受けた子どもの回復までを丁寧に描く現代文学である。「知らない人と会わない」という単純な注意喚起にとどまらず、困ったときに「助けて」と言える環境の大切さと、子どもを守るために家族・学校・地域社会が果たす責任を問いかける、希望と再生の物語。

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アルファポリス
アルファポリス2026/07/05
  • 現在の作品『見えない糸 〜画面越しの侵入者〜』