あらすじ

医学部を目指す高校三年生の藤崎凛は、自分の家族を「診断」することにした。  父と母は怒鳴り合わない。暴力もない。外から見れば、どこにでもある普通の家庭だ。でも食卓では会話が途中で消え、誰かが言いかけた言葉が宙に浮いたまま落ちていく。弟の湊は笑いながら場を取り繕い、凛は観察ノートに症状を書き続ける。  患者名、藤崎家。病名、不明。  三年間の記録の末に凛が下した「治療方針」は、試験的別居だった。離れれば見えるものがある。距離を置けば戻れる。そう信じていた。  けれど別居が始まってから、凛は初めて気づく。治すことと、作ることは、違うのだと。  診断不能でも、予後は良好。藤崎家が見つけた「家族の形」は、世界にひとつだけだった。

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エブリスタ2026/07/04
  • 現在の作品予後良好