あらすじ
カクヨム10テーマ小説コンテストのルーキー部門のセレクションに選ばれた
「エルテゲーン・ティーヴ年代記- 大陸の記録」がルーキーだけに内容がかなりガタガタでしたので、設定などをいろいろ調整してセルフリメイクした作品です。
■あらすじ
エルテ大陸を統一した英雄の時代は終わり、いまは歴史の一項目として語られるだけになった。
本史書が扱うのは、その後に続く世代の記録である。
偉大な者たちの名は残っているが、時代は移り変わり、彼らの意思を継ぐ者たちの時代になった。
亡命政府「デレイン・ホシュ」は旧領の奪還と再興をあきらめ、
隣接するジャルハ家に停戦と通商を求め、使節団を派遣する。
その一員である帳簿係テムゲルは、湿気に強い新火薬を提示することで国境での足止めを覆し、
ジャルハ家当主バァトルへの謁見の機会を得る。
謁見の場でテムゲルを気に入ったバァトルは、ジャルハ家の質の悪い火薬の改善を命じる。
テムゲルはその期待に応え、火薬庫の管理や配合を立て直し、
バァトルは彼を「不確実を確実にする石ころ」と呼び信頼を寄せるようになる。
こうしてテムゲルは“監査”として仕えることになった。
しかし、テムゲルを快く思わない武官たちは、彼を排除するため戦場へ引きずり出す。
小雨が続くアルテ平原。
ジャルハの将兵たちが「敵は動かぬ」と油断する中、
テムゲルだけが翌日ここが戦場になると静かに確信していた。
そして翌朝。
泥濘をものともせず迫るボルド家の騎馬軍団。
迎撃の準備も整わぬまま崩れゆくジャルハ軍。
一気に蹂躙せんと敵の騎馬隊がバァトルの本陣へ突撃する。
絶体絶命の中、テムゲルは新火薬を用いた爆矢の斉射を命じた。
爆ぜる音とともに騎兵が跳ね飛び、後続が将棋倒しのように崩れていく。
初めて戦場に立った青年が放った一撃は、戦況を一瞬で覆した。
しかしテムゲルは勝利を追わず、即座に敗走を選ぶ。
「奇手は二度続かない」
敗走の途上、バァトルはテムゲルを「我が石ころ」と呼び、
彼の異質な才覚を恐れと共に受け入れていく。
エルテヴェーン年代記、第1部の幕が上がる。