あらすじ
西暦2064年。
突如地球へ飛来した外来生命体によって、人類は滅亡寸前まで追い詰められていた。
核兵器も、最新鋭の兵器も、敵には通用しない。
人類が十八年の戦争の果てに生み出した最後の希望――対外来種戦術外骨格《AEGIS(Adaptive Exoskeleton Guardian Integrated System)》。
通称【イージス】
しかし、それは敵を倒すための兵器ではなかった。
イージスができるのは、圧倒的な敵を相手に「数分、数時間だけ」防衛線を維持し、人々が避難するための時間を稼ぐことだけ。
そして、その兵器を扱えるのは、十八歳以下の少女だけだった。
適合者となった少女たちは、全寮制の「国立適合者育成アカデミー」へ集められる。
外出は禁止。
私服を着ることも、寄り道をすることも、恋をすることも知らない。
「青春」という当たり前の日常を奪われたまま、彼女たちは兵士として育てられていく。
そんな少女たちを率いることになったのは、新米指揮官・神崎遼。
軍上層部が少女たちを「消耗品」と呼ぶ中、彼だけは一人ひとりを兵器ではなく、生徒として、名前で呼び続ける。
だが、人類には勝ち筋がない。
この戦争の勝利とは、敵を倒すことではなく、一人でも多くの人間を生き延びさせること。
そのために世界統合軍が選んだ最後の戦略が、「勝利の女神制度」だった。
各部隊には、一人の少女が“勝利の女神”として配属される。
衛生兵であり、精神的支柱であり、部隊の象徴。
そして勝利の女神は、部隊が戦いを放棄したとき、その責任を一身に背負う存在でもあった。
誰もがその制度を残酷だと知っている。
それでも、それ以外に人類が生き延びる方法は見つからなかった。
戦場で初めて海を知り、初めて私服を選び、初めてアイスクリームを食べる少女たち。
皮肉にも、彼女たちが「青春」を知るのは、命を落とすかもしれない最前線だった。
これは、人類最後の一年を生きた少女たちと、最後まで彼女たちを兵器ではなく人間として守ろうとした、一人の指揮官の物語。
――三百六十五日後、第十三独立戦術小隊は、その名を歴史に刻み、誰一人として帰らなかった。