あらすじ

物心ついた頃から、僕の視界には人々の頭上に浮かぶ、白く、淡く光る「糸」が映っていた。 特に害のない、ただの綺麗な景色。 誰もが見えているものだと思い込んでいた、いつも通りの日常。 ──けれど、中学に上がったある日。 僕は視界の端に、決して見てはいけない違和感を覚えてしまう。 一人の同級生の頭上にだけ浮かぶ、煤(すす)けたような鈍い「黒い糸」。 それが何を意味するのか、当時の僕には分からなかった。 分からなかったけれど、僕は、それに関わるのが怖かった。 自分が傷つくのを恐れて、ただ見て見ぬふりをする道を選んだんだ。 あの時、もっと早く気づいていれば。 もし、僕が勇気を出して、一歩を踏み出していれば。 教室に響き渡る、あの「音」を聞くこともなかったのだろうか。 これは、自分の無力さから目を背けた僕の、死んでも忘れない、一生消えない後悔の記憶──

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カクヨム
カクヨム2026/07/04
  • 現在の作品黒く染まる運命の糸