あらすじ
アルファは強く、傲慢で、愛するオメガを誰にも渡さない。
オメガは可憐で、守られ、最後にはアルファから熱烈に愛を告げられる。
――少なくとも、クリス・ラザレフが愛読する恋愛小説には、そう書かれていた。
公爵家の嫡男であり、王太子妃候補筆頭でもあるクリスは、幼なじみの王太子アスターにずっと恋をしている。
けれど、アスターは自分を大切にしてくれるものの、肝心の「好き」という言葉だけは口にしてくれない。
そこでクリスは、恋愛小説を参考に作戦を開始する。
病弱なオメガを演じて庇護欲を刺激し、王族の青年と親しくして嫉妬させ、相手の幸せを願って身を引くふりをし、秘密を抱えたオメガになって興味を引く。
しかし、どの作戦もアスターには最初からお見通し。
呆れられ、からかわれ、ときには本気で怒られながらも、クリスは少しずつ、作戦ではなく自分の言葉でアスターと向き合うことを覚えていく。
恋愛小説を信じる、優秀なのに恋には少し不器用なオメガと、すべて分かっていながら彼を甘やかす傲慢なアルファ。
すれ違いそうですれ違わない、幼なじみ王太子と公爵令息のオメガバース・ラブコメディ。
■クリス・ラザレフ
ラザレフ公爵家の嫡男で、王太子妃候補筆頭のオメガ。
淡い金髪と青い瞳を持つ、健康的で愛らしい青年。政治、歴史、外交、礼法のすべてに優れた努力家だが、恋愛だけは小説から学んでいる。
幼なじみのアスターに長年想いを寄せており、彼から愛を告げてもらうため、恋愛小説を参考にさまざまな作戦を実行する。
病弱なふりをしながら朝食をしっかり食べ、秘密めいたオメガを演じながら菓子店のことを隠しきれないなど、本人は真剣なのにどこか抜けている。
頭は良いが、アスターの前では少しだけ愚かになる。
■アスター・ヴァルツェフ
ヴァルツェフ王国の王太子で、クリスの幼なじみのアルファ。
黒に近い青の髪と、冷静な灰色の瞳を持つ。公正で聡明、立ち居振る舞いにも隙がなく、王太子として高い能力を備えている。
クリスの行動や好みを誰よりもよく見ており、彼の恋愛作戦もほとんど最初から見抜いている。
少し意地が悪く、クリスをからかうことも多いが、その実かなり甘い。
クリスが演じる姿ではなく、健康で、よく食べ、負けず嫌いで、時々妙なことをするありのままの彼を大切に思っている。