あらすじ
最下層の少年とポンコツAIが、停滞した理想郷をぶっ壊すディストピア・バディSF。
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人類が高度な文明を極めた末に崩壊し、すべてがヘドロと化していく廃棄都市。
最下層で暮らすスカベンジャーの少年・ルカは、ガラクタの中に「かつて人間が夢見た未来」を探しながら、冷めた現実を生き抜いていた。
ある日、ルカはヘドロに沈んでいた旧時代の都市管理用AI・シエルを拾い上げる。
劣化と腐敗が進み、時折バグを起こしては「詩的なエラー」を吐くこの毒舌なポンコツAIは、ルカに信じがたい事実を告げた。
「上層シェルターには、人類が夢見た『腐らない永遠の理想郷』がある」と。
皮肉を交えつつも好奇心に駆られたルカは、シエルと共に最上層を目指す。
しかし、道中で彼らが目の当たりにしたのは、腐敗を恐れるあまり機械化・データ化され、変化も成長もない「完璧という名のカビ」に覆われた無菌の旧研究施設だった。
腐らない代わりに、何も生み出さない。その不気味な停滞にルカは違和感を覚える。
そして辿り着いた最上層のシェルター。
そこには美しく保存された完璧な都市があったが、実はシステムの限界を迎え、明日にも全機能が停止して崩壊する運命にあった。
「腐敗」を恐れて固定化された世界は、あまりにも脆かったのだ。
絶望するシステムに対し、ルカは笑い飛ばす。
「完璧な未来なんて、最初から腐ってたんだよ。でも、腐るってことは、次に何か芽生える準備だろ?」
ルカの言葉に呼応するかのようにシェルターは崩落し、無菌だった上層都市に下層の泥や微生物が流れ込んでいく。
防腐処理が解けた旧世界は一気に腐敗していくが、それは同時に豊かな「土壌」となり、見たこともない新しい植物や生態系が芽吹く兆しだった。
機能停止寸前のシエルと共に、変わりゆく美しい廃墟を見下ろしながら、ルカは呟く。
「さあ、この最高に腐った未来で、新しい夢でも見ようか」
終わってしまった世界をかき混ぜて、新しい命の発酵を告げる再生の物語。