あらすじ
序
※本作は「【MFブックス】イケオジ小説コンテスト【中編】」への応募作品ではありません。
コンテストへ参加される皆さまを心より応援しております。
募集要項を拝見し、その楽しげな雰囲気だけを《香誓の王国譚》へ少し混ぜてみました。
これをきっかけに《香誓の王国譚》にも興味を持っていただければ嬉しいです。
※本作は異譚です。作中に登場する文律盤・索文盤などの文書補助具は、本作限りの戯作上の装置であり、本編《香誓の王国譚》には存在しません。
※作中の「イケオジ小説コンテスト」に関する応募要項、審査、補助利用の扱い、主催団体その他の描写はすべて架空です。実在する「【MFブックス】イケオジ小説コンテスト【中編】」の応募要項および運営とは関係ありません。なお、主催団体を買うこともできません。
*
世の中には「イケオジ小説コンテスト」なるものがあるらしい。
応募する予定はない。
ただ、国王と調停府長官がそれを知ってしまった。
背中で語り、生き様で魅せる、大人の男ならではの魅力を描くこと。
二万字以上六万字以下の中編ファンタジー小説であること。
男性主人公部門と女性主人公部門があること。
そして、生成AIの利用は、誤字脱字の確認、表現の調整、着想の整理など、創作を支える補助的な範囲に限られること。
本文の執筆や、筋立ての主要部分を委ねてはならない。
募集要項に目を通したカシウス=グランメル国王はしばらく黙っていた。
隣では、ダリウス=ラ・リュミエール調停府長官が同じ紙面を最初から読み直している。
「大人の男、か」
「陛下と同じ四十六歳の人物なら、主人公として十分に該当するかと」
「お前と同じ四十五歳でも同じだろう」
「年齢だけなら、そうでしょう」
「応募するとは言っておらぬ」
「私も、書くとは申しておりません」
二人の視線が再び募集要項へ落ちた。
ややあって、カシウスが生成AIの利用条件を定めた箇所へ指を置く。
「補助的な利用は認められている」
「そのようでございますね」
「では、筋立ての主要部分とはどこからだ」
ダリウスの目が止まった。
それが、すべての始まりだった。