あらすじ
侯爵令嬢リリアは、前世でシステムエンジニアとして働いていた記憶を持つ転生者。
魔法が当たり前の世界で、彼女は魔道具と魔法陣を組み合わせ、王国初となる大規模な情報管理網を構築した。
税収管理、物流管理、在庫管理、街道監視、魔物出現予測。
王国を支える数々の魔導システムは、彼女の手によって生み出されたものだった。
だが、その功績を知る者はほとんどいない。
周囲から見れば、彼女は王太子の婚約者という立場に甘えているだけの地味な令嬢だった。
そしてある日。
王太子は大勢の貴族が集まる夜会で婚約破棄を宣言する。
「君のような無能な令嬢は不要だ」
そう言われたリリアは、あっさりと婚約破棄を受け入れた。
そして一言だけ告げる。
「承知いたしました。では、本日をもちまして担当業務を終了いたします」
翌日。
物流管理システムが停止した。
数日後。
税収管理システムが停止した。
さらに街道監視網、倉庫管理網、王都の情報共有網までもが次々と機能を失っていく。
王国中が混乱に陥る中、人々はようやく気付き始める。
便利な魔道具が王国を支えていたのではない。
たった一人の令嬢が、王国そのものを動かしていたのだと。
これは婚約破棄をきっかけに管理者権限を返上した元プログラマー令嬢と、彼女の価値を失ってから知る人々の物語。
なお本人は、
「保守契約が終了しただけですが?」
と首を傾げている。