あらすじ
旦那様が「跡継ぎはフェリクスにする」と仰ったとき、わたくしはその子の寸法帯を膝に置いておりました。三日前に、どなたの子とも聞かされずに洗礼着を頼まれておりましたので。
ドルンバッハ公爵家は、生まれるときと、嫁ぐときと、死ぬときに白を着る家でございます。三度水を通した麻でなければ格が合わず、通すのに三月かかります。その白を三年、わたくしが縫ってまいりました。
ですので、申し上げました。婚姻届に、旦那様の署名がございません。三年前から、存じておりました。
持参金は麻布三十反と、生家の晒し場でございます。晒し場と申しますのは、白を作る場所でございます。