あらすじ

15歳の聖人ルカは、ある日突然、四十歳の日本人男性だった前世の記憶を取り戻した。 そして思い出したのは、前世の妹が読んでいた一冊のファンタジー小説。 この世界では間もなく異世界から聖女が召喚され、もともと国に仕えていた聖人は力を失い、偽物の烙印を押されて追放される。その聖人こそ、今のルカだった。 悲惨な未来を回避するため、ルカが選んだのは―― 追放される前に自分から逃げること。 城を抜け出し、凶暴な魔獣が住むと恐れられる森へ逃げ込んだルカは、ユキヒョウの獣人と悪魔の血を引く青年・ゼノに助けられる。 ゼノが暮らす平屋の家には、異なる種族と悪魔の血を受け継いだ3人の子どもたちがいた。 人間から恐れられているゼノたちは、不思議なことに魔獣と心を通わせ、家族のように穏やかに暮らしていた。 ルカも彼らと生活をともにするうち、城では得られなかった温かな居場所を見つけていく。 そんなある日、ルカはゼノたちが焼くパンのおいしさに驚き、前世の知識を生かして、街外れに「悪魔印のサンドイッチ屋さん」を開くことを思いつく。 最初こそ悪魔の血を引く者への偏見にさらされるものの、店は次第に評判となり、街の住人や冒険者たちにも愛されるようになる。 ルカはゼノや子どもたちと笑い合いながら、こんな毎日がずっと続けばよいと願っていた。 しかし、ついに王都で異世界の聖女が召喚される。 原作では力を失うはずだったルカだが、その聖なる力はなぜか以前よりも強くなっていた。 やがて森で倒れていた聖女を保護したルカは、彼女もまた、突然異世界へ連れてこられ、神殿に利用されていた被害者だと知る。 さらに、原作でルカが力を失った本当の原因が、大神官の作った魔道具にあったことが明らかになる。 大神官は聖人と聖女の力を奪い、二人を思いどおりに操ろうとしていたのだ。 聖女を連れ戻そうとする神殿の騎士たちは、ゼノと三人の子どもたちまで危険な悪魔として捕らえようとする。 新しく手に入れた家族を守るため、ルカは逃亡聖人である自分の正体を明かし、ゼノたちとともに王都へ向かうことを決意する。 これは、追放される運命から逃げ出した聖人が、白い獣悪魔と三人の子どもたちに出会い、本当の家族と居場所を手に入れる物語。 そして、小説に定められた結末を乗り越えたルカが、聖人という役目ではなく、一人の人間として大切な者と生きる未来を選ぶ物語である。

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カクヨム
カクヨム2026/07/30
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