あらすじ

氷室の割当を十年、わたくしが割ってまいりました。ところが旦那様は氷札を取り上げて仰るのです——「氷は要る順に」。愛人筋の料理屋の名が、うちより先に読まれる。三度目でようやく承知いたしました。では割当帳から、わたくしの名を外させていただきます。 魚屋は朝一番でないと売り物が死ぬ。産所は日に二度。薬種屋は少量でも切らせない。料理屋は見栄で多く言うから実の要り目は六掛け——それを数えていたのは、わたくしの頭の中だけ。割当帳に残るのは割った結果で、割った理由ではございません。 書いてある通りに割った翌夏、氷の来ない店と、溶けて流れる山ができました。わたくしは何も止めておりません。ただ、氷室の老女がひとこと仰っただけ。「うちらはあの店に氷を出してたんじゃない。あんたの割りに出してたんだ」。 ——鑑札の停まったお店に、札は残してまいりました。

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小説を読もう2026/07/30
  • 現在の作品「氷は要る順に」と愛人の店へ先に回した夫へ。では割当帳から、わたくしの名を外します——鑑札の停まったお店に札は残して