あらすじ
「壊れたら買い直せばいい」——そう言って婚約を破棄なさった殿方は、王宮の魔道具すべてがわたしの署名で保証されていたことを、まだご存じありません。
王宮の照明も、暖房も、結界も。五年のあいだ、ほとんど無償で調律してきたのはセリアでした。
この国の魔道具保証は「売った者」ではなく「調律した者の署名」に紐づきます。婚約破棄と同時に彼女の名が台帳から消された日、王宮の魔道具は誰も手を触れられなくなりました——無署名の品に触れば、責任がその者へ移るからです。
セリアは町に小さな修理工房を開きます。壊れた品と、その持ち主の暮らしを、一件ずつ。
王宮が静かに綻んでいくのを横目に、無口な騎士団長だけが毎日きちんと修理代を置いていき、やがてこう言い出しました。「壊れてからでは、遅い」
第1部 全30話・ハッピーエンド。
静かなスカッとと、手仕事の丁寧さが好きな方へ。主人公は最後まで、誰にも復讐しません。