あらすじ
千年の時を生き、すべてを統べた魔王。
討伐に訪れた勇者一行すら返り討ちにした彼は、あまりの退屈から途方もない「気まぐれ」を思いつく。
――殺した勇者レオンの姿に化け、人間の国へと帰還してみることにしたのだ。
滅ぼす前の軽い余興のつもりだった。
だが、待ち受けていたのは「魔王を打ち滅ぼした大英雄」としての熱狂的な歓声と、涙ながらの感謝だった。
なぜか世界を救った救世主として崇められる魔王。
そして彼は出会う。自らが命じた侵攻によって家族を奪われ、故郷を燃やされた人々――己が生み出した悲劇の犠牲者たちに。
「私を救ってくれて、ありがとうございました」
自分を絶望に突き落とした元凶とも知らず、偽りの勇者に涙を流してお礼を言う少女の手の温もり。
それに触れたとき、魔王の中で何かが変わり始める。
悪意と皮肉から始まった、偽りの英雄による世界
巡礼。
最凶の悪魔が、己の踏みにじった世界を歩む、勘違いと贖罪のファンタジー!