あらすじ

水城イオリは、他人の声や仕草から、本人が隠している弱みや心の傷を見抜くことができる。 そして舞台では、その傷をわざと刺激し、本人の意思とは関係なく、本物の涙や怒りを引き出す。 大手芸能事務所が開く、1年間の新人俳優選抜。候補生20人のうち、正式契約を得られるのは3人だけだ。 最初の公開審査で、相手役の篠崎マヒロは、泣く場面で涙を流せずにいた。 このままでは二人とも失敗する。 そう判断したイオリは、マヒロが隠していた心の傷を利用した。 マヒロは本当に泣いた。 二人の芝居は観客全員を泣かせ、イオリは個人演技で1位になる。 だが、マヒロは激怒した。 自分の傷を舞台で使うかどうかを、イオリに勝手に決められたからだ。 ほかの候補生との課題でも、イオリは相手の弱点を利用していた。 次に何を使われるか分からない。 自分の演技を、自分で選べなくなる。 そう考えた19人全員が、イオリとの再共演を拒んだ。 演技1位。 共演希望ゼロ。 そして次の審査は、候補生同士で相手を選ぶ二人芝居。 互いに選び合わなければ、舞台には立てない。 それでもイオリは、自分の演技が間違っていたとは思わない。 誰にも選ばれないのなら、一人に選ばせればいい。 彼女が指名したのは、誰よりも自分を嫌っているマヒロだった。 他人の感情を動かす方法は分かる。 だが、自分が舞台で何をしたいのかは決められない。 これは、他人を動かすことばかり考えてきた少女が、初めて誰かから、 「あなたと一緒に演じたい」 と選ばれるまでの物語。

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小説を読もう2026/07/30
  • 現在の作品演技1位、共演希望ゼロ――観客全員を泣かせた少女が「あなたと一緒に演じたい」と選ばれるまで