あらすじ
「お前の父は詐欺師だ。商家の誇りなど、はじめからなかったのだよ」
ゲルハルト伯爵はそう言い捨て、私たちの店も、取引先も、家族の尊厳もすべて奪った。
父は病に伏せり、母は指から血を滲ませて縫い物をし、十歳の弟は街角で花を売っている。
そして私は、死んだ。
いや、正確には「前世で」死んだ。北条沙織、28歳。企業再生を専門とするコンサル会社のシニアコンサルタント。過労死で。
気づけば私は、没落した商家の娘ミレイユ(16歳)として目を覚ましていた。
でも、今の私にはある。
前世で自分より巨大な企業を何社も解体した記憶。そして、あらゆるモノの「本当の価値」を見抜く『商眼(しょうがん)』が。
ゲルハルト伯爵。平民には何もわからないと笑いましたね。
では教えてください。なぜ私には、あなたの首の「正確な値段」が見えるのでしょうか?
……それに、王国で最も恐れられている公爵様が、なぜ私から目を離さないの?