あらすじ
「死ぬということ。死ねるということ。それは生物に与えられた、たった一度の権利だ」
生きることに執着を持たず、ただ空虚な日々を過ごしていた少年・木場凪人(きば なぎと)。
彼はある日、幼馴染を救うため、人類の天敵である最強の怪物“波導の女王”に、自らの命を差し出した。
「俺の命で、あいつを見逃してくれ」 それは、人生で初めて彼が見つけた「死に場所」のはずだった。
だが、女王は彼を殺さなかった。
彼を喰らう代わりに、その魂を深く、永遠に縛り付けたのだ。
『うぬは喰われたのではない。飼われたのじゃ』
体内に世界を滅ぼしかねない怪物を宿した凪人に残された道は、「波導士」として過酷な戦いの世界へ身を投じることだった。
「法の番人」たる宮家の佳紬由(かつゆ)という厳しくも不器用な師や、天才ゆえの苦悩を抱えるすももたちと共に、血反吐を吐くような修行と死闘を越えていく凪人。
絶望の中で彼が見つけたのは、護るべき「日常」と、温かい「家族」の絆だった。
しかし、平穏は長くは続かない。
死にたい女王と、殺せない少年。
これは救いではない。終わらせられない二人が鎖のように縛り合い、理不尽な運命に抗うダークファンタジー。