あらすじ
百の怪異が支配する迷宮――〈百鬼夜境〉。
そこに現れるのは、剣で斬っても魔法で焼いても倒せない、異国の怪物「妖怪」だった。
古い図譜の研究者エリシュカは、百鬼夜境で三年前に行方不明となったマルケータの痕跡を追い、彼女の妹である魔法使いクラーラ、大盾を操る護衛ミラダ、道具と罠に詳しい斥候テレザとともに迷宮へ足を踏み入れる。
最初に遭遇したのは、雨の町を跳ね回る一つ目の傘。
濡れた者へ襲いかかり、頭から覆いかぶさる怪異を前に、四人は気づく。
妖怪は、力で倒すだけでは攻略できない。
古い伝承を読み解き、行動を観察し、間違った仮説を捨て、その怪異が何を求めているのかを突き止めなければ、夜は決して明けないのだ。
妖怪を見ると危険を忘れるエリシュカ。
消えた姉を取り戻すため、慎重に魔法を操るクラーラ。
仲間を守ることを最優先にするミラダ。
身近な道具と小さな痕跡から突破口を見つけるテレザ。
四人は姉が残した図譜を頼りに、カラカサ、ノッペラボウ、ユキオンナ――まだ誰も正体を知らない百の怪異へ挑んでいく。
これは、妖怪を知らない異世界の女たちが、剣と魔法では解けない百の夜を、知恵と観察で一つずつ開いていく物語。