あらすじ
天才的な話術と洞察力で、悪人ばかりを狙っていた詐欺師は、唯一の親友に裏切られ、二十九歳で命を落とした。
死後、彼は自らを裁こうとする神すら言葉で欺き、異世界へ転生する。
しかし、新たな人生の始まりは祝福とは程遠かった。
名もなき赤子として捨てられた場所は、腐敗した王国の最下層――飢えと暴力が支配するスラムのゴミ箱だった。
クライ・マイトと名乗った彼には、剣の才能も、一般魔法の適性もない。
あるのは前世で培った詐欺の技術と、人間を決して信用しない冷徹な頭脳だけ。
嘘で食料を手に入れ、演技で大人を操り、弱者を食い物にする者から財産も権力も奪っていくクライ。
そして五歳になったある日、古代遺跡で世界から封印された一冊の書物――あらゆる禁術を記した『背神契約大典』を発見する。
悪魔との契約、魂を対価とする禁術、運命を書き換える禁忌の魔法。
強大な力には必ず代償が必要だった。
だが、クライは笑う。
「契約書があるなら、俺の土俵だ。」
仲間を騙し、悪魔を騙し、貴族を騙し、王国を騙し、神すらも騙す。
これは、誰も信じられなかった元天才詐欺師が、禁術と策略だけで腐敗した異世界を奪い取り、自分が平穏に暮らせる国を築き上げる物語。
世界を救うつもりなどない。
ただ、自分の邪魔をする世界を、自分都合で騙しきる。