あらすじ
**昭和十二年、一つの学校から四つの運命が始まった。**
1937年、東京・中野。
秘密裏に育成される情報要員たちは、それぞれ異なる使命を授かる。
モンゴル班。
チベット班。
新疆班。
インド班。
彼らが学ぶのは、銃や爆薬ではない。
現地の言葉、宗教、商習慣、地理、民族、そして「人間」を理解する技術だった。
やがて彼らは、ラマ僧、隊商、商人、巡礼者へと姿を変え、広大なアジアへ消えていく。
一方で、日本、中国、イギリス、ソ連、それぞれの国家は表には見えない情報戦を繰り広げていた。
雪山を越える巡礼路。
ラクダ隊が進むシルクロード。
草原を駆ける遊牧民。
紅茶の香るカルカッタ。
世界が第二次世界大戦へと向かう激動の時代、その最前線は必ずしも戦場ではなかった。
本作は、1937年から1945年にかけてのアジア情勢や情報活動に着想を得た歴史フィクションである。
実在の歴史的背景をもとにしながら、登場人物・任務・組織・事件は創作として描かれる。
各話末には、日本・中国・イギリス・ソ連・チベットの政治情勢や国際情勢、当時の社会や物価を解説し、物語と歴史を立体的に楽しめる構成となっている。
**戦争を描くのではない。**
**戦争の裏側で、誰にも知られず世界を見続けた者たちを描く物語である。**