あらすじ
「星読みの巫女ミラ――お前の予言は不吉ばかりだ。神殿から追放する!」
大神官の一声で、巫女ミラは神殿を追放された。同僚巫女セラフィナの糾弾、周囲の白い目――けれど彼女は喚くことも、すがることもしなかった。
なぜなら、彼女の前世は現代日本の気象予報士にして、大の天文オタク。『不吉』と呼ばれた予言は、大雨も干ばつも魔物の氾濫も、すべて的中していた高精度の災害予測だったのだ。神殿がその警告を握り潰し、責任を彼女に押し付けていただけ――そんなこと、とっくに知っていた。
「はいはい、追放ですね。承知しました」
淡々と頭を下げたミラが持ち出したのは、宝物庫に眠る一枚布『虹霓の羽衣』。誰も使いこなせなかったその飾り物は、彼女が触れた途端、七色に輝きはじめる。それは大気の光を操り、空の全てを読み解く最強の相棒だった。
王都を出たミラが向かったのは冒険者ギルド。伝説級の鑑定結果に周囲がどよめく中、彼女が求めたのはただ一つ――「天気予報が必要な村、ありませんか?」
虹色の羽衣を纏い、気ままなお天気屋さんとして第二の人生を始めたミラ。行く先々で人々を助け、やがて心を許せる出会いも訪れて――。
次の依頼へ。次の空へ。ハズレ巫女と呼ばれた少女の、痛快で心温まる旅がいま始まる。
「さて。明日の天気は――上々よ」