あらすじ
神聖教団の抜かす「大調和の刈り取り」——。
それは、数年おきに限界を迎える世界のメーターを維持するための、ただの無言で効率的な大虐殺(定期清掃)に過ぎなかった。
神の算式(ノルマ)により、故郷の村を、そして雇われていた混成亜人軍の仲間を一瞬で臓物へと変えられた男、ジャン・ヴァレンタイン。かつて最初の反逆に失敗し、右目を失い、死体袋でドブ川へと流された「死人」。
さらに教団は、ジャンを「裏の汚れ仕事の猟犬」として縛り付けるため、彼の最愛の妹セリアを拉致し、世界の絶望を一身に吸い上げる生贄の核(霊的胎盤)として檻に閉じ込めやがった。
だが、教団の算盤(そろばん)を弾くクソ真面目な鉄屑どもは、大きな計算違いをしていた。
ジャンは、戦場で瀕死の古龍ヴェノムと遭遇する。神への強烈な逆意(絶望の波長)が同調した瞬間、魂の境界線がドロドロに融解し、二人は禁忌の「契約」を結んだ。
代償は、ジャンの発声能力(こえ)。舌の表面に焼き付く、赤黒く爛れた契約の呪印。
引き換えに手に入れたのは、禍々しき『龍の右腕』。
そして、ジャンの足元に広がる、極悪ギャング風に喋る不快な影。
教団が裏切りに気づき、妹の同調解除(処刑)を完了するまでのタイムリミットは、次の新月の夜までの【三十日間】。
ジャンは、強奪した教団の最高機密『神の遺物』の莫大な魔力を喰らい、檻の底に繋がれた妹を世界のシステムごと力ずくで引きずり戻すことを決意する。