あらすじ
契約魔法によって刻まれた紋章は、逆らえば焼けるように痛む。八歳のあの日から十年以上、公爵令嬢リーゼは王子との「契約」に従い、悪役令嬢を演じ続けてきた。花を踏み荒らし、令嬢を泣かせ、悪女という仮面をかぶるたびに、心にもない言葉を吐く自分を嫌悪しながら。王子が"正しい王様"として振る舞うために、リーゼはただの道具であり続けた。
けれど彼女は、演技の裏でずっとある小さな魔法を使い、証拠を残し続けていた。
聖女の登場、階段からの転落事件、そして卒業式当日の婚約破棄――積み重ねてきた沈黙が限界を迎えたとき、リーゼが本当に「憶えている」ものが動き出す。
演じることでしか生き延びられなかった令嬢の、静かな逆転劇。