あらすじ
十年前、S級ゲート深部で殉職処理された元A級ハンター・神崎遼は、協会の記録から消えたまま、日雇い労働者として静かに暮らしていた。
過去を語らず、ゲートにも近づかず、ただ毎日を積み上げるだけの生活。
だが、世話になっている職人・安田の息子が関わったD級ゲートの事故をきっかけに、遼は封じていた力と記憶に向き合うことになる。
安全なはずの低ランクゲート。
不自然に食い違う業務記録。
返されない端末と登録証。
どこにも残らない深層の記録。
調べるほど、公式発表の隙間から別の事実が浮かび上がっていく。
遼は小規模ギルド〈ストライド〉でハンターに再登録し、若きB級ハンター・朝比奈たちとともに、誰にも見向きされない不採算ゲートの調査を始める。
やがて見えてくるのは、単なる管理ミスではない。
D級とされたゲートの奥に眠る異常な資源反応。
暫定評定のまま放置された危険。
そして、大手ギルド・ゼニスが守り続けてきた巨大な利権。
剣だけでは届かない相手に、遼は報告書、数字、証言、そして制度そのものを武器にして迫っていく。
これは、最強の男がただ敵を斬る物語ではない。
消された記録を拾い上げ、歪められた数字を読み、誰かの死を一行の事故で終わらせないための物語。
記録から消された男が、今度は圧倒的な能力と記録によって世界の嘘を暴く。
現代ゲート社会の裏側を描く、調査型ダンジョンファンタジー。