あらすじ
断罪された翌朝、悪役令嬢イレーヌは、内側から鍵の掛かった離宮の一室から姿を消した。
残されていたのは、乱れた寝台と、手つかずの食事。そして、枕の上に置かれた婚約指輪だけ。
その夜から、誰もいない部屋で、王太子レギウスの声が聞こえるようになる。
「君だけを愛している」
「生涯、君を守ろう」
「何があっても、君を捨てない」
それは、かつて彼がイレーヌへ贈った愛の言葉だった。
昔の言葉には、もう意味などない。
そう切り捨てるレギウスのもとへ、声は毎晩、少しずつ近づいてくる。
これは、忘れたことにされた愛の言葉が、受け取った相手を探して戻ってくるお話。