あらすじ
中学三年の四月。新垣蓮が県内模試で取ったのは、五教科300点満点中100点だった。傷つく前に笑い、難問のせいにして答案を捨てようとした夜、黒い革ジャン、リーゼント、サングラス姿の男が現れる。
男の名は神崎零司。東京の有名塾で伝説と呼ばれ、死後も消えない後悔を抱える受験講師だった。
神崎が蓮へ与えるのは、答えでも超能力でもない。誤答分析、基礎反復、検索練習、生活改善――現実に使える勉強法だけ。目標は、偏差値75の私立最難関・琉星学院。そこは、優等生の幼なじみ・宮城美咲が親に勧められた進学先でもあった。
しかし、成績が上がれば幸福になれるとは限らない。低内申、教育費、部活動、貧困、管理する親、期待に潰される優等生。それぞれの事情を抱えた受験生と交わるうち、蓮は気づく。人を助けることと、その人の人生を決めることは違う。
弱い少年が努力で得点を奪い返し、伝説の教師もまた教え子から学び直す、高校受験群像劇。
※自死、家庭内暴力、育児放棄に関する題材を扱います。方法の詳細描写や美化はありません。