あらすじ
料理人ユートが流れ着いたのは、作物が育たず、食事は空腹を満たすだけになった辺境のリュネ村。与えられたのは、荒れた食堂跡と痩せた畑、そして食材の性質を料理に適した形へ変える「食性変成」だった。
石のように硬い岩樹の実、臭くて噛み切れない魔物肉、口にすれば危険な毒草。誰もが捨ててきた素材ほど試したくなるユートは、料理人の知識と能力を組み合わせ、驚きの一皿へ変えていく。しかし、美味しくできても、採集、保存、栽培、配分、商売までは能力だけで解決できない。
堅実な狩人セレナ、未知の味を追いかける小さな味芽獣ポム、村の食料を預かるガドたちと、時に反対し、失敗し、それぞれの判断を持ち寄りながら、ユートの食堂は少しずつ人の集まる場所になっていく。
食べる喜びが、明日を待つ理由になる。空腹の大地から始まる、発見と料理と居場所づくりの異世界食堂スローライフ。