あらすじ
かつて、人は神々の力を宿していた。
世界はそれを忘れた。だが、いくつかの秘密の氏族は、忘れなかった。彼らは「カモン」を守り継いできた。肉体と魂を何倍にも高める、聖なる絆を。今なお、それを目覚めさせられるのは、ごく限られた者だけだ。
テンマは、その選ばれし者ではない。金属のバットで叩き起こす、いかれた老人に育てられた彼は、化け物ぞろいの一族の中で、最も弱い存在だった。無敵の二人の兄。大陸で最も恐れられる氏族を統べる、父。
そんなある日、兵士たちが彼をさらう。そしてテンマは、暴力を、死を、そして生まれたときから隠されてきた真実を知る。なぜなら、彼の弱さは、仮面にすぎないからだ。そして、その緑の瞳は――呪いなのだ。
中央アフリカの神話に根ざし、聖なる森と、隠された忍びの里を舞台に描く『カモン』。それは、笑いと血が隣り合わせに流れ、愛する者すべてが、いつ爆ぜるとも知れぬ物語。
運命と、血と、そして愛の代償をめぐる物語である。