あらすじ
樹海で遺品を拾って売る、そういうのををしている。
ある日、財布を拾った。中身を確認したら、現金とレシートと身分証が入っていた。住所を見て、返しに行けばよかった。ただそれだけの話だった。
でも地名が引っかかった。
特殊清掃の知人が言っていた。子供の靴が五件の現場に残されていて、全員が同じ地区に縁のある人間だったと。財布の持ち主の住所と、その地区が一致した。
調べ始めたら、止まれなくなった。
三年前、樹海で発見された遺体。自殺と断定されたが、財布は現場に残っていなかった。靴は両方揃っていた。記事のコメント欄に一件だけ書き込みがあった。「あの人が自殺するわけがない」。投稿者のアカウントはすでに削除されていた。
その地区では十年に一度、縁のある人間が樹海に消える。自分の意志で。そういう慣習があると、地区を逃げ出した女性は言った。
財布の持ち主は、選ばれた人間じゃなかった。じゃあ、なぜ消えたのか。
樹海荒らし・未解決事件遭遇編。